中小企業採用大全:「いい人がいたら採用したい」は、いつになっても採用できない
「中小企業採用大全」シリーズ:中小企業ならではの戦略をお伝えします。
第2回目は「いい人がいたら採用したい」は、いつになっても採用できない
いい人がいたらの本音
採用に関して希望をお尋ねすると、「いい人がいたら、いつでも採用したいんだけどね」とお答えになる中小企業の社長が、わりといらっしゃいます。
気持ちはわかります。
おっしゃりたいこともわかります。
例えば、営業の社員がもっといれば、それだけ売れるので、どんどん売ってくれる営業力がある人なら、採用したい。
けれど、求人広告を出しても採用できるかどうかわからないのに、わざわざ経費をかけて、絶対社員を増やしたいというわけでもない。
だから、いい人がいたら、採用したい。
けれど経費をかけてまで、採用活動するのは、もう少し先でよい。
そんな感じだと思います。
新規採用を長期間しないリスク
では、新規採用を何年にも渡って行わなかった場合、企業はどうなってしまうのでしょうか?
人材不足
社員は年をとります。
やがて、定年となり退職していきます。
定年の年齢を引き上げたとしても、60歳を過ぎると、体力的にキツイからと、退職する社員が出てくるでしょう。
業務効率
例えば、20代で入社したAさんが、入社してから20年、新規採用がなかったとします。
Aさんは、社内では1番若いので、自分の本来の業務以外にも、雑用的なこともしていた場合、1番働き盛りの時に、雑用で時間を取られてしまいます。
いつまで経っても部下ができず、モチベーションが下がり転職してしまうかもしれません。
いい人がいたらの真の問題
このようなリスクは、社長は百も承知です。
でも、採用に積極的にならないのには、社長個人の問題ではなく、もっと大きな問題がひそんでいると私は思うのです。
いごこちの良い社内人間関係
新規採用しなければならないと、切羽詰まった状態ではないということは、一方で社内の人間関係は円満なのだと思います。
退職する人がいないので、今の人数でまわせてしまう。
へたに変な人を入れてしまい、社内が混乱するリスクを避けたい、社長の深層心理の中で、このような感情がわき、新規採用に消極的になっているかもしれません。
崩れた年功序列とデフレ日本経済
日本では、年功序列制度を取っていたため、毎年給与は上がっていました。
利益も年々増加させ、給与の昇給分に当てなければなりませんでした。
そのため、社内での年齢のバランスが非常に重要で、ある程度安い給与で、雑用やベテランのサポートをしてくれる若い社員が不可欠でした。
ところが、このシステムでは人件費がかさむため、バブル崩壊後、成果主義に変わっていきました。
少ない売上を、小さな金額の給与で、社員に還元する。
それでも、デフレなので毎年、同じようなレベルの生活ができます。
それに、企業も、社員も慣れてしまったのではないでしょうか。
今の給与で社員は満足していますか?
インフレで給与水準が上がっている
デフレの時代は、それでも社員はそこまで不満に思っていなかったと思います。
しかし、ついに日本もインフレになりました。
それも景気が良くてのインフレではなく、世界情勢の変化や、原材料・エネルギーの高騰によってのインフレです。
人手不足で給与水準が上がっている
給与が上がっているのは、物価高への対応だけではありません。
労働人口の減少で、人材の争奪戦になっています。
高齢者を積極的に高給で採用しているベンチャー企業もあります。
まさか50代のベテランが、突然転職してしまうなんて、予測していなかったことが起きているのです。
アジア各国の給与水準が上がり、日本に外国人労働者を呼び込みたかったら、給与水準をもっと上げていかなければなりません。
「いい人」を言語化しよう
デフレのぬるま湯につかっていた時代は、終わりました。
あなたが信頼しているベテラン社員が、「親の介護」や「田舎暮らしをしたい」という理由で、会社をやめたいと言ってくるかもしれません。
若い世代だけのベンチャー企業から、日本の会社の基本を教えてもらいたいという理由でヘッドハンティングされ、定年までウチの会社で働くだろうと思っていたベテラン社員が、転職してしまうかもしれません。
ここらで、採用に真剣に取り組んでみませんか?
まずは、社長の思っている「いい人」の言語化から始めませんか?
求人票を見た人が「自分のことだ」と思わないと、応募してもらえません。
ライバル会社の「いい人」は、あなたの「いい人」とは違うはず。
会社に入ってもらいたい人は、どんな人ですか?
まとめ
今回は、中小企業採用大全:「いい人がいたら採用したい」は、いつになっても採用できないをお伝えしました。
いい人を言語化するのは正直、難しいと思います。
コツは、かっこいい単語を使わず、話し言葉で一度言葉にしてみることです。
そして、それを修正していきます。
求人広告媒体では、そこまでのサービスはないので、人事コンサルタントや、採用コンサルタントに依頼するのがおすすめです。
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